従業員への損害賠償

1.賠償請求するための前提条件
(参考)就業規則
第○条 従業員が故意または過失によって会社に損害を与えたときは、その全部または一部の賠償を求めることがある。
労働契約書または就業規則に損害賠償条項の記載があること。

2.使用者責任と賠償額の範囲
 判例からも全額請求は、ほとんど無理です。せいぜい損害額の2〜3割程の金額が限度になります。従業員に重過失があった場合でも、損害額の5割が限度と考えて下さい。
使用者が、その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により直接損失を被った場合、使用者は、その事業の性格・規模(中略)等諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、損害の賠償を請求することができる。信義則上損害額の4分の1を限度とすべきである。(最高裁1小判決 S51.7.8)
これは、本来事業活動による危険負担は事業主にある・経済力の差・事業主の管理責任の観点からなるものです。

3.判例紹介
 会社は損害額の2分の1の限度で元従業員に損害賠償請求できるとされた事例(東京地裁 H15.12.12)
  ・従業員に「重過失」があったことは明らかである。
  ・会社が主張する「損害額」には妥当性がある。
  ・「損害の公平な分担」「信義則上相当と認められる限度」
  等 諸般の事情を勘案すると、損害額の2分の1の限度で損害の賠償を請求できる。

 最近の判例では「5%を限度」としたものもあります。(大阪高裁 H13.4.11)